大人の楽しみ 11タケノコ取り(ネマガリダケ)

今年もタケノコの季節がやってきた

11-12/jun/2011 ようやく田植えが終わった翌週、師匠(カミさんのお父さん)と一緒に行く毎年恒例のタケノコ取り(ネマガリダケ)1泊2日)へ行ってきた。今年の春は雪解けが遅いこともあって、田作業は例年に比べ1週間は遅れていため、毎年田植え後である6月第1週の土日は行けず、第2週目の土日となった。

 

ここ10年行っていた場所が封鎖されたため、仙岩峠の岩手県側南斜面で取ることになってから今年で2年目となるが、昨年は全く土地勘もなく、まさに当てずっぽでのトライであったが、今回は国見の1/25,000の地図を購入し、それ以降暇があれば見てイメトレを行っていた。

何でだろう?

前日は荒れ模様であったが、午後から回復する旨の天気予報であった。念のために当日の朝、46ナビでwebカメラをチェック。なぜが文字化けしている消防車が数台見える画面が写った。「何でだろう?」と思っていたが、イベント欄では6/14に合同避難訓練が行われることが告知されていたので、きっとそれの下見に来ているだろうと、高をくくったものの何となく心に引っかかっていた。

 

12:30 出発は1泊2日の行程であるので、早い昼飯を食って出かけることとした。午前中は予報通り雨模様でタケノコ取りはカッパ着用が予想されたし、ガスに覆われることが気になったが、仙岩峠にさしかかると、雨が降った形跡もなく道路が乾いていた。仙岩トンネルを抜け、岩手県側に出るとwebカメラと同様の消防車と消防隊員その他10数名がそこにはあった。

あんまり近くに車を止めるのもどうかと思い、ババヘラの近くへ駐車し、ババヘラのおばちゃんへ早速聞き込みを開始した。

 

ババヘラのおばちゃん曰く
「昨日から40代の男性2人がタケノコ取りのために山に入って返ってこないため、警察やヘリまで出動して早朝から捜索中であり、ここに止まっている車は全て捜索するために来ている人たちが乗ってきた車である。」・・・要約


とのこと。

 

我々がこれからはいる山は丁度捜索中の山。確かにどこを探しているかは分からないが、なんか気持ちが悪いし、何と言っても都合が悪い。それでもそそくさと支度をしていたら、消防の人から声をかけられた。


消:「これからですか?」
オレ:「はいぃ〜、なんか捜索中だとか・・・」
消:「はい、その通りです。」
オレ:「見つかったんですか?」
消:「見つかって、本人たちは病院へ搬送されて、捜索した人が降りてくるのを待っているんです。気を付けて行ってきてください。」
オレ:「はい、分かりました。ありがとうございます。お疲れ様です・・・」

 

なるほど、見つかったらしくとりあえずホッとした。「自分たちも迷子にならないように気を付けなければ」と師匠と話した。

 

14:15 支度が整い、捜索中であった山に入った。いざエントリーするときに、ババヘラのおばちゃんから


「熊に気を付けるんだよ」と言われ、
「あぁ ありがとう。多分いないと思うよ。」


とは答えたモノの、ちょっぴり不安が沸いてきた。

 

取りかかりはかなり急斜面のため、笹をつかんでノハイクアッップとなる。この急斜面を登るとちょうど尾根に出るのでそこから少し尾根沿いに登ると赤い布きれが下がってあるブナの木にたどり着く。昨年見た風景と一緒だし、地図でイメトレしていたので何となく地形も頭にないっている。保険として地図・コンパスを持参した。ここから笹の植生が変わりネマガリダケ特有の太くて濃い藪となる。とりあえず、今日はこの目印付近で取ることとした。

昨年よりも1週間遅いこともありほとんど取られてないと思っていたが、結構あるじゃないか!おほほと言いながら夢中になって取ること2時間、背中にしょったリュックもある程度の重さとなってきたし、雲行きが怪しくなってきたので、下山することとした。

 

師匠と腰た丈の笹藪の中を下山していたら、風で揺れる笹の中でなにやらうごめく黒い物体が見え隠れした。思わすばばへらのおばちゃんの言葉が頭をよぎった。


「熊に気を付けるんだよ・・・」


40分ぐらい前にも竹藪の中を歩き回っていたとき、「グルルルルルゥ」とまるで獣がのどを鳴らす音を聞いた。そ〜っと注意深く回りを見渡したが何もそれらしきモノは見えない。冷静になり考えたところ、こんな答えにたどり着いた。


「背中にしょっているリュックの中に飲みかけのペットボトルのウーロン茶が入っているので、それに竹がこすれて出た音だろう・・・」と。

そんなこともあって、ナーバスになっていたワケ。2人でよ〜く目をこらして様子を見ていると


師匠:「気の根っこだ・・・」
オレ:「んっ!そ、そうすか・・・」


なるほど、目線を上に移してみると大きなブナの木と続いているし、うごめいてるかのように見えたのは笹が揺れているからで、決して黒い物体が動いている訳ではなかった。


不気味な音とおばちゃんからの一言で完全にビビっていたから、見えないモノが勝手に見えてきたのだろう。

 

17:00 気を取り直し、無事車をデポした場所へ到着。あれだけいた捜索のための車もいなくなり、ババヘラのおばちゃんも帰り支度をしていただけ。二三挨拶を交わし、リュックを軽トラの荷台へ入れ込み今夜の宿泊先である雫石町の道の駅「あねっこ」へ向け移動した。

この道の駅「あねっこ」には温泉施設から直売所、レストランやキャンプ場までなんでもある。しかし我々は駐車場の端っこに陣を取って、夜の宴の準備に取りかかった。この軽トラには幌がかけてあり、荷台にはゴザを敷いているので、移動できる全天候型の立派な居酒屋スペースとなっている。飲み物は潤沢にあるし、食い物も余るだけ持ってきているし、何と言っても取れたてのタケノコがある。この取れたてのタケノコの皮を剥きチタントレッカーに水を半分入れスノーピーク「地」にかける。煮立ったところで皮を剥いたタケノコと豚肉・味噌を入れて「タケノコ汁」を造る。これがメインであり、最高のごちそうとなる。

 

17:30 ビールを飲みたかったのをグッと我慢をして「タケノコ汁」が完成。クーラーボックスからキンキンに冷えたビールを出して、スノーピーク「雪峰」にそれぞれ注ぎ、いざ乾杯!「ゴクッゴクッゴクッ、ぷは〜旨い!」まずは「タケノコ汁」の汁をすすり、タケノコをパクリ。ポリッポリッとして歯触りも良いし、タケノコのうまみが「タケノコ汁」に染み渡っていて極上の一品となった。

 

「これは採った者が、こうやって造るここでしか食べることができない味だなぁ」


と、2人でしみじみと味わった。料理はこれ以外にも「鰹の刺身」「やきとり」「いかげそ揚げ」「キュウリの漬け物」「豆菓子」「トマト」、飲み物は「ビール」「焼酎」「日本酒」と何でもあり。2人で今日の成果や昔話に花を咲かせて飲み物が無くなるまで語り合った。

 

21:30 飲み物がなくなったところで、カップ麺のそばを頂いてシメた。昨年までは軽トラのラグジュアリーな荷台で寝泊まりしていたが、道の駅内に畳の休み処を発見し、そこに寝袋を敷いて寝ることとした。ここに寝たことの良かった点は、温度も快適で寝袋はいらないこと。水場が近くなこと。悪い点は公共施設のため夜中でも人の出入りがあり、がさごそとうるさく、ほかにもキャンピングカーで駐車場に止まっている人もいたので、朝がめちゃくちゃ早いこと(明るくなると人が動き出す)対処法としてはアイマスクと耳栓があれば完璧。

次の日

4:30 次の日(6/12sun)の起床おおよそこの時間。夜が明けてくるのは3:30頃から何となく明るくなってきていたようだ。身の回りを片づけてて、軽トラへ乗り込みいざ出発。

 

5:00 昨日と同じ場所へ軽トラを止め、準備に取りかかった。昨日は捜索のため多くの人と車が止まっていたが、今日は他のたけのこ取りの人も見えずに辺りはひっそり。おおよそ5:30から再び急斜面に取り付いた。昨日飲みながら地図を見てミーティング。これにより二人ともおおよその地形を情報共有した。ここは稜線がポイントとなり、下ってもこの稜線を目指して登ってくれば間違いなく帰れる。迷うことも少ないだろうって、迷っては行けない。

 

目印の木にラジオをくくりつけ、音量最大でNHK(一番良く入る)を流し、帰る場所のマーキングをしてからエントリーとなった。昨日も入っているので藪の中でも何となく土地勘が出てきたようで、動きやすい。昨夜のミーティングにより、今日は山に向かって左側を攻めることとしたが、タケノコはそれほどあるわけでもない。こんな藪の中で青いビニール紐が走っている。これは前に入った人が目印に引っ張りながら藪に入ったため。なるほど、これだと確かに迷う確率はぐっと少なくなる訳だ。ビニール紐一巻きで一本マーキングしながら周辺を漁って歩くと結構の範囲を歩くことが出来ることになる。

 

どうも今入っているコースはメジャーらしく、前に取った形跡もあり、あまりタケノコが見あたらない。師匠とお互いに声をかけながら居場所と情報を確認し、もっと上へ登ることとした。そうしたら、何となく出てきて、座りながら5〜6本は取れる場所を発見。これは良い。取るために手を出しながら他にないかと目を見張り、次の獲物を発見すればロックオン。この場所ではこれの繰り返しで結構な量を取ることが出来た。

差は歴然

7:00 途中稜線へ出て、そこでお互いに朝飯のおにぎりをほおばった。結構取ったと思っていた自分であるが、師匠はその1.5倍の量を取り、しかも質の良いタケノコばかりを取っていた。つまり、何でも取るわけではなく、あまり大きすぎず小さすぎないちょうど良いところ。自分はと言えば、とにかく量を取って早くリュックを一杯にしたいため、何でも取りまくった。たとえタケノコの花が咲いていたとしても。心の中では「弘法筆を選ばず・・・」と唱えながらひたすら取りまくった。今年は結構良い勝負と思っていたが、まさに蓋を開けて見ると差は歴然であった。

 

昨日も取ったことだし、それなりの量もあるのであまり遅くならない時間で終わることをお互いに確認し、再び別のとことへ入って取りまくった。

 

9:30 そろそろリュックも満たされたので、車をデポしてあるところへ下った。下りは登りよりも手強い。なぜなら背中の荷物もあるし、急な斜面のため足を滑らせ尻もつを付くこともあったが、無事到着。ババヘラは今日も店を出していたが、昨日とは違うおばちゃんと見えた。リュックを軽トラの荷台へ入れ込んで、埃を払い次なる場所の「あったか山温泉」へと軽トラを走らせた。

 

10:30 「あったか山温泉」へと到着し、タケノコ取りの疲れと汚れを洗い流し、館内の食堂にて中華を注文し、サントリー「ALLFREE」で乾杯。まだ車を運転するためこれはこれでいい感じである。あとは、注文した中華と残り物のおにぎりを頂いて満足。窓から見える庭の芝生が青く、気持ちが良い温泉である。この後うちへ戻って今回の成果をカミさんと子供たちへ見せびらかした。そして、今夜うちで食べる分と知り合いへ分ける分を小分けにして、子1時間ほど一眠り。

タケノコを剥く

14:00 軽トラに子供たちを乗せて、今度は自分の実家へ向かった。実家では採ってきたタケノコをみんなで剥く作業がある。子供たちをうまく乗せながら手伝わせてタケノコ剥きを始めたが、夕方までには終わらず、向けなかったタケノコは湯通しをして劣化を止める。子供たちはあきたのか、猫と戯れている。広げてみると、結構取ってきたと思っていたタケノコであったが、それほどでもなく、大きさもピンキリ。まぁ、こんなモンでしょう。

 

17:30 自分のウチへ戻ると晩ご飯の支度中。今日のごちそうはタケノコ汁とタケノコ焼き。タケノコを先っぽだけ皮を残しグリルで軽く焼き、食べるときに残った皮を剥いてこれにマヨネーズを着けて食らう。そしてキンキンに冷えたビールをゴクリ。これが旨い!子供たちも夢中になって食べている姿を見て今年も取ってきて良かったと思うときである。

 

本日の収穫

 

  • ネマガリダケの缶詰め 29個ができました 
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